Type Rating取得ガイド⑤ Simulator課程

Type Rating

Simulator課程の期間

Pan AmのA320 Initial Type Ratingコースの場合、以下の通りです。

  1. 訓練     :3時間 x 6日
  2. LOFT   :2時間 x 1日
  3. Check Ride:3時間 x 1日

合計8日。全日Full Flight Simulatorを使います。

基本的な流れとしては、1時間前に集合してブリーフィングを行います。その後、上記の時間Simulatorを使って訓練を行います。Simulator訓練後、30分〜1時間ほどデブリーフィングを行って終了です。Log Bookをお持ちの方は教官にサインをもらうのを忘れずに。1日約5時間です。

訓練の時間帯

訓練の時間帯は日によってまちまちです。Simulatorには利用枠が設定されていて、使いたい人が多いと深夜や早朝に割り当てられることもあります。A320は比較的空いている方でしたが、ハリケーンによる調整で早朝5:30(ブリーフィング4:30)に割り当てられることがありました。教官のStanley Forresterさんは前日、「ブリーフィングは30分で終わるから5:00集合にしよう」と柔軟に対応してくれました。

当時、B737NGは24時間フル稼働でも足りないくらい埋まっていたそうです。

訓練生が1人の場合と2人の場合の違い

訓練生が1人の場合、訓練生は左席に座ってPilot Flying(PF)を担当します。サポーターと呼ばれる方が右席に座ってPilot Not Flying(PNF)を担当してくれます。サポーターも教官ですので、いろいろアドバイスをくれます。自分の担当教官は後ろの席から指示をしたり、管制官のATCをしたり、緊急事態を起こしたりします。

訓練生が2人の場合、PFとPNFをそれぞれ交互に2時間ずつ行います。そのためSimulatorの時間は1人の時より1時間長い4時間となります。

 

サポーターも教官です。何度か担当教官とサポーターの間でプロシージャーに齟齬があり、揉めるケースがありました。私が一緒になった教官方は権威勾配がハッキリしていて、偉い教官の意見が採用されていました。担当教官にブリーフィングでやれと言われたプロシージャーも、サポーターの方が偉い場合、サポーターの意見が採用されました。こういうものだと思って謙虚に受け止めましょう

 

 

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Simulator訓練内容

訓練は6日間。4日目までは毎日新しいことばかりで、予習と復習で1日が終わります。5日目から1度やったことのある内容がほとんどの習熟フェーズに入り、だいぶラクになります。

フライトプランはNew York Kennedy International Airport(KJFK)からBoston Logan International Airport(KBOS)までを使います。

毎回ボストンで何かしら問題が発生し、ニューヨークに戻ることになります

覚えてる範囲で実施内容を列挙します。

1日目 訓練

Cockpit Preparation、Normal Takeoff、ILS Approach、Normal Landing、Parking

2日目 訓練

Cockpit Preparation、APU Inoperative Upon StartExternal Power Engine StartX-Bleed Engine StartLow Visibility TakeoffEmergency DescentLOC Approach、Normal Landing

3日目 訓練

Cockpit Preparation、Engine Failure After V1、Engine Relight、TCASWindshear、Single Engine ILS Approach、Landing、Parking

4日目 訓練

Cockpit Preparation、Engine Failure After V1、Engine Relight、Manual Gear ExtensionLOC 04R Approach→Circle to Land 31R、Landing、APU Fire on Ground、Evacuation

5日目 訓練

これまでの復習

6日目 訓練

これまでの復習

7日目 LOFT

LOFTはLine Oriented Flight Trainingの略で、実運航を想定した訓練です。Simulatorを止めずに進められます。この日、初めてボストンに着陸できます。Check Rideではボストンに行かないので、Check Rideとは重ならない内容が多いです。教官もそれは把握していて、余った時間をCheck Ride対策に宛ててくれました。

8日目 Check Ride

FAA Checkerによって行われます。Oral Examの時と一緒の方でした。フライトプラン、審査項目は全て訓練でやった内容です。訓練でやったことをそのままやれば大丈夫。サプライズは無いので安心してください。

 

申し送り

Check Rideの詳細を記載した申し送りをPan Amの日本人スタッフの方に渡しています。Pan AmでA320の訓練を開始する際は受け取ってください。

 

 

Check Ride合格後

FAAライセンスをお持ちの方はライセンスにType Ratingを紐付ける手続きを行います。私はJCABライセンスなので手続きせずに終了でした。

Pan AmからA320 Initial Type Ratingコース修了を証明するCertificateが発行され、Check Rideから約2週間後に日本の住所に届きます。

 


 

5回に分けてA320 Initial Type Rating, Ground Schoolコースの書類手続きから訓練修了までをご紹介しました。次回はPan Am生活、マイアミ生活のお役立ち情報を書きます。

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